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池亀 亜矢子さんのUSCPA合格体験記

暗記するほど講義を聞きこみ合格!

池亀 亜矢子さん

USCPAを目指したきっかけを教えてください。

南カリフォルニアで不動産インベストメントの仕事をしている中で、CPAとしてTAXの知識もあれば、日米投資家のクライアントにワンストップサービスを提供できると思ったのがきっかけです。

合格までの学習期間、実際の学習時間、具体的な学習方法を教えてください。

合格までの学習時間:2.5年
1週間あたりの学習時間:平日2-3時間 休日2-3時間

仕事と育児をしながらの勉強でしたので、あまり勉強する時間がなく、インプットは主に、移動中の車の中で、講義を音声で聴いていました。アメリカ在住で、車を運転する時間は長いですので、各科目、各章、5回ずつは聴いたと思います。先生のジョークを丸覚えするほど聴きました(名場面の数々、笑わせていただきました。中でも一番インパクトがあったのは、サウナ1000回の話です)。
アウトプットは、夜にMCを2~3時間やりました。週末の時間のあるときにノート作りなどをしました。

以下は、テキスト、過去問以外に理解度を高めるために取り組んだことです。

【FAR】
学習量が多いので、ある程度の知識が入ってくると、チャプター間を超えた知識の混乱が生じ、それを整理するのに、自分なりの表を作りました。
例えば、キャッシュフローの利息と配当の区分は、GAAP、IFRS、GOVERNMENT、NPOで微妙に異なるところを引っ張りだし、表にすると、結構簡単に覚えられます。これによりC/Fの区分の問題は、どこから出題されても間違えることはなくなりました。
私は、知識を整理する作業が結構好きで、IFRSとGAAPの相違点まとめ、GovernmentのWFSとFFSの相違点まとめなど、いろいろと作って楽しんでいました。

【BEC】
学生時代に経済学を勉強していましたので、すでに知っている内容も多くありましたが、WC対策のため、専門用語の定義を普段から自分で言えるように練習しました。
例えば、Opportunity costなら、
Opportunity cost is the largest profit from the rejected alternative, when making a choice among several options.
このような定義をコンパクトにいくつか覚えておくと、WCで使うことができました。定義は、英語のアカウントサイトに載っているものを自分でピックアップしてみました。

【AUD】
ノートに、テキストに載っているAudit ReportのUnmodified, Emphasis, Other matter, Qualified, Adverse, DisclaimerのサンプルとPCAOBのレポートとの比較、Review, Compilation, Examination, AUPのレポートを印刷して貼りつけ、横断的にそれぞれのレポートを眺められるものを作りました。
また、Engagement Letterと Rep Letterと 統制不備のレポートは、混乱しやすいので、横に並べて違いを明確にし、各項目を表にまとめて暗記しました。
MCで間違えた問題は、すぐにレポートの文言を確認し、マーカーでハイライトしたり、余白に書き込みをしたりしました。MCに必要な内容も、シミュレーションに必要な内容も集約して、一元的に覚えるようにしました。

【REG】
TAXは、IRSのサイトからForm1040,1041,706,709,1120,1120S,1065をダウンロードし、印刷して、学習した内容(控除限度額、Phase outなど)をフォームに書き込んでいきました。試験直前期は、それを見直すことで、フォームの各項目と関連事項がすべてまとまっているので、MCにもシミュレーションにも役立ちました。
また、控除額がPhase outする項目は忘れやすいので、チャプターを超えて拾いだし、整理してまとめました。

講義の良かった点を教えてください。

・多くのプロアクティブ受講生の方がおっしゃるとおり、やはりインパクトのある授業がよかったと思います。本試験で答えに迷ったとき、先生の言葉がふっと思い出され、正解にたどりつけることがありました。
・あとは、先生の授業を聴いて、財務諸表を横断的に読み込む力は自然と身についたように思います。特にキャッシュフローの授業で、C/Fを作成していくシミュレーションの問題は、大掛かりな問題でしたが、それをすることによって、各財務諸表の位置づけがよくわかり、また、会計の勉強がおもしろいと思えるようになりました。新試験になってからは、財務諸表間の読み取り能力がさらに試されるようになりましたので、MCを解いているだけでは身につかないそういう力をつけることはとても重要だと思います。

学習に一番時間がかかった科目は何ですか?

FARです。
東京で18年間公務員をしていたため、公会計しかわからず、固定資産を購入したときに、資産計上して償却するという企業会計の処理が、最初は感覚的に相入れず違和感がありました。資産計上に抵抗感があるところからのスタートでしたので、他の方よりも時間がかかったと思います。
ただ、企業会計を勉強してきた現在は、逆に公会計の何でも一括支出するやり方はすごい処理方法だと感じるようになりました。

試験直前時期の学習方法や、おすすめの学習方法があれば教えてください。

・MCを2~3周しても、まだ間違える項目については、ミニノートにまとめて、出先でもいつでも、振り返りができるようにしました。学習の早い段階から、ノートにまとめる方もいると思いますが、それですと、ノートに書く手間と時間が多く必要ですし、自分の弱いところがぼやけてしまうので、MCをある程度進めてから、弱点だけをピックアップしました。

・FARだけは、「SUPER直前」を使いました。直前期に使用する教材としては秀逸で、自分の弱点を洗い出すのに適した良問が抽出されていると思いました。分量も1冊が4~5日間ぐらいでこなせる量なので、試験前に2回ほどやると、あいまいになっている知識の整理、弱点の補強に役立ち、MCもシミュレーションも力がついたと思います。また、そこで見つけた弱点については、eラーニングの過去問データベースの単語検索機能で、該当する項目を入力すると、自分が弱い問題だけを集約して問題を解くことができ、効率的に補強できてよかったです。単語検索機能は非常に助かりました。

受験手続きサポートについてのご意見をお聞かせください。

あまりにもスムーズだったという印象しかありません。短期間のうちに、気がつけば受験できる状態になっていました。

各科目の試験の感想を教えてください。

FAR

【MC】
難易度は、過去問と変わらないレベルだったように思います。出題数としては、NPOやGovernmentの会計が多く、旧試験のときによく出題されていたIFRSの問題は少し減ったように思いました。それでも、IFRSのR&Dの会計処理(R&Dでも資産計上できる場合があるというGAAPとの違い)については2問出ました。

【シミュレーション】
シミュレーションは、Exhibitsに資料が5個も6個もあって、それらを横断的に読み取らなければいけない問題が4問ほどありました。また、Subsequent EventsのAdjustment とDisclosureの問題、Statement of Changes in Equityが丸ごと1問出題されました。Statement of Changes in Equityは、IFRSでは要求されている財務諸表ということも影響しているのか、最初の受験のときも似たような問題があり、2度めでした。

REG

【MC】
Treasury Circular 230、Ethics関連の出題が意外と多かったです。
AMT、Gambling loss、Passive Lossの控除額(Phase out考慮)、1244条、S corpのOrdinary Incomeの計算など、テキストの内容が満遍なく出題された感じがしましたが、結構、細かいところからの出題もあったように思います。

【シミュレーション】
CorporationとPartnershipのDistributionの違いを比較する問題が出て、やはりきたかと思いました。DistributeするPropertyのBasisやFair market valueは、複数の資料から自分で計算しないといけないので、結構、手間でした。
あとは、Form1040の入力、Estate Tax Returnで控除できる金額の算定、DRDなど、MCの知識で十分対応できる問題でした。

AUD

【MC】
ReviewとCompilationがよく出題されていた印象です。
他にレポートでは、EmphasisやOther matterパラグラフが追加されるケースを問う問題がありました。日数や年数の問題も何問かありました。(Non issuerのAudit documentationの保存年数は5年、PCAOB issuerは7年など)

【シミュレーション】
FARができなければ解けないという問題が数問あり、Exhibitsの資料も多く、苦戦しました。修正仕訳も直接問われます。

BEC

【MC】
特に出題数が多い分野というのはなく、管理会計、内部統制、経済学、比率計算などから幅広く出題されていた感じでした。ITでは、Mirrorの問題が出て、佐々木先生が動画解説の中で、「うちの会社も使っています」と話されていたのを思い出し、解答することができました。

【WC】
型を覚え、冒頭と末尾だけは先に記入し、たとえ時間がなくなっても、空欄では出さないようにしておきました。アメリカで仕事をしており、書きなれていると思っても、意外と本番の試験では思うように手が動きませんでした。

試験後の反省点、事前にやっておいた方がよいことがあれば教えてください。

試験の予約ですが、科目のExpireの心配がなければ、できるだけ各ウィンドウの終わりの頃に予約した方が、受験後、早く結果がわかって、次の科目の学習との兼ね合いで都合がいいと思います。ウィンドウの初めの方に受験すると、結果が出るまで2か月以上★待つこともあります。70点台で不合格だった場合、すぐに受け直しすれば、合格の可能性もあると思いますが、結果が分かってから、さらにNTSの発行までに1~2か月待ちますので、その間、受験できずに時間のロスになります。私は、Extended Period(3,6,9,12月の1日~10日まで期間)の受験が気に入っていましたが、早めに予約しないと空きがなくなります。

★2018年2Q-4Qの試験結果は、試験制度変更に伴い各Windowの最終月の指定日に発表となります。通常であれば、受験から約2週間で結果発表となります。

試験会場と現地の印象を教えてください。

自宅から一番近くの南カリフォルニアの会場で受験しました。
スタッフはとてもフレンドリーで、入室するときには、いつも”Good Luck!”と声をかけてくれ、試験の緊張を解きほぐしてくれる感じでした。同じ会場でTOEFLやGRE(アメリカの大学院に出願する人が受ける試験)、その他資格試験も実施されているのですが、CPAを受験しに来ている人は、いつも2~3人と少数でした。
ちなみに、お手洗いは、試験会場外にあり、受付でトイレのドアのカギを借りてから行かないと、ドアがロックされていて使用できません。

合格後に仕事でどのように活用できましたか?
または、転職やキャリアアップにどのように役立ちましたか?

合格したばかりで、今すぐの転職は考えていませんが、これまでの勉強を通じて興味を持った分野に新たにチャレンジしてみたいと思っています。

これからUSCPAを目指す方や、勉強中の方へアドバイスをお願いします。

勉強を始めた頃は、授業で学習するシミュレーションの問題など、とても理解できず、こんなに難しい問題が本試験で出るのなら、自分にはこの試験は無理だと思うことが何度かありました。また、例えば、FARの金利計算の問題なども、日付に十分気をつけず、簡単なミスを繰り返したりして、自分はCPAに向かないのではないかと思うこともありました。
しかし、勉強を続けていくと、問題文の日付に敏感に反応できるようになり、簡単なミスも確実になくなってきて、やはりこの勉強は、日々、CPAとなる資質や注意力を養成する訓練にもなっているのだなと思うようになってきました。

FARの学習範囲は膨大で、やってもやっても終わらず、初めは高い山を下から見上げているような感じでしたが、特に試験を受けようと思う頃には、逆に空から山を見下ろすように、FARの学習範囲全体が見渡せ、問題文を読んだら、どこの論点かがすぐにわかり、条件反射のように自然と手が動く状況になっていました。そういう頃には、勉強が楽しく感じられるようになっていました。学習量は多いですが、いずれ楽になってきますので、是非、モチベーションを下げずに頑張ってほしいと思います。

あと、試験本番は、時間との勝負です。
初めて受験したときは、時間が足りないと思っただけで、焦りから問題文を読んでも全く頭に入ってこないという状況になりました。でも、不思議と受験をするたびに、メンタルは強くなっていきます。
時間の足りなさ、問題の難しさで、以前の自分ならとても平常心ではいられないような状況でも、最後の1分まで、落ち着いて問題にくらいついていけるようになりました。

多くの時間をかけて勉強して試験に臨みますので、「わからない問題などない」と、自分に言い聞かせ、刻一刻と短くなっていく残り時間を気にすることなく、冷静に最後の1分まで問題を解けるように頑張ってほしいと思います。

最後に、私は、FARの合格が失効したとき、正直、勉強を諦めようと思ったことがありました。
そのとき偶然、失効しても再受験して合格した方の体験記を読み、「失効した科目の内容は7割ぐらいは覚えているから、ゼロからのスタートではない」という言葉に励まされ、再び受験する覚悟を決めました。
あのときの励ましがなければ、今の合格はありません。
私は合格体験記に助けていただきましたので、私もこれからの合格者の方々のために何かお役に立てることがあればと思い、書かせていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。

その他、ご意見、ご感想などございましたらご自由にお書きください。

これは私が新試験を何回か受験して個人的に感じたことなので、ご参考程度にしていただければと思いますが、新試験のテストレット3で、とんでもない大問のシミュレーションが出題されることがありました。
FAR,REG,AUDで同様でした。テストレット3は、シミュレーションが出題される最初のテストレットのため、こんな難しい問題はプレテスト(採点されない問題)かな?と疑いつつも、まだ、あと6問も残っている状況で、プレテストと決めつけて解答する勇気もなく、その1問に30分ぐらいかけてしまい、最後のシミュレーションを解く時間が足りなくなりました。

その次のFARとREGを受験したときも、テストレット3で難しい問題が出てきました。
前回の失敗がありましたので、そのときは、ひと通り問題を読み、Exhibitsの資料に目を通して、部分点ねらいのスタンスで解答し、次のテストレットに進みました。それでも合格しましたので、やはりあの問題は、プレテストだったのかと、今は思えるのですが、試験の最中は、そんなことはわかりません。せっかくテストレット1と2のMCで順調に進んできているのに、テストレット3で、超がつく難しい問題に直面し、メンタルへの悪影響と時間不足のダブルパンチを受けてしまうのは損なことです。強靭なメンタルがないと、「さっきの問題ができなかった」というネガティブさを引きずりながら、残りのシミュレーションを解いていくことになります。

私は、アメリカ人のCPA受験者の間で有名な「Another 71」というサイトに時々目を通していました。そこでも、テストレット3で「マンモス級の問題が出た!」と書いている人がいましたので、その傾向は少なくはないのかと思います。

テストレット3でそういう問題を出してくるところに、出題者が受験生の強さを試そうとしている意図を感じなくもありませんが、これからの受験生の皆様にはそんなAICPAの戦略に動揺させられることなく、最後の1問まで平常心で、ご自分の力を発揮していただきたいと思います。

最後に、アメリカ在住のため、お世話になりました佐々木先生、事務局の皆様に直接お会いしてご挨拶させていただくこともなく、今日となってしまいました。これまで、おもしろい授業、迅速丁寧なご対応、本当にありがとうございました。この学習を通じて得た知識は計り知れません。今後、ライセンスを取得し、それを活かしていくことがお世話になりました先生方への恩返しと思っておりますので、合格したからといって気を緩めず、これからも、精一杯努力していきたいと思います。どうもありがとうございました。